第一章 一部

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「あっちい……」  高校一年の夏。かんかん照りの太陽の下、ほとんど私服のような状態で校庭をのそのそと歩く。 皆が夏休みを満喫している中、ろくに勉強をしていない俺達は蒸し暑い学校で毎日のように補講を受けていた。  国語、数学、社会、理科、英語。ただ教室に顔を出しているだけで授業の大半は寝ている。 授業に参加しているのは、見慣れたやつらばかり。と、言うより俺のダチ(友達)だ。 「なあ、ハル。もういっそ学校やめちまうか?」  親友の永原太一(ながはらたいち)が、気の抜けた声で俺に言った。ハルというのは俺のあだ名。本名は本間晴輝(ほんまはるき)。 「まーた、それかよ。辞めてどうすんだ?」 俺はうんざりしたような顔で太一に訊いた。  太一は“学校を辞めたい”と、言うのがいつもの口癖。奴曰く、 『刺激が足りない』 らしい。 まあ、奴の気持ちが分からないわけではない。なぜなら、俺も同じことを思っているからだ。
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