第一章 二部

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 俺にとっての恭輔は嫌いな奴には違いないが、そのまま放置しておくのは流石に気が引けた。そのため、元友人のせめてもの情として雑木林の中へ埋めてやる事にする。  石のように重い恭輔の身体を一人で抱き抱えるのは流石に無理。なにかいい方法はないかと考えた結果、両腕をつかみ引きずって歩く。 ざ……ざざざ……  引きずっている最中、ほんの少しずつ恭輔の身体が固くなっているような気がした。  これが死後硬直というものなのか。頭の悪い俺には医学的な知識など当然ないため、この現象を何と呼ぶのかは知らない。 とりあえず、早く恭輔の亡骸を埋めてしまおう。  渾身の力を振り絞り、俺は恭輔を引きずり続けた。 ジョロジョロジョロ……  焼却炉の辺りに差し掛かった頃、水の流れるような音がした。 直後、臭ってくる糞尿の臭い。それが、どこから臭ってくるのか考えなくても分かる。  恭輔だ。 「くっせ!!」 思わず指で鼻を摘まんだ。  臭い。汚物の臭いが指の間から鼻腔内に侵入し、吐き気を誘う。 ぷ……ぷす……ぷすぷすぷすぷす…… そして放屁(おなら)のおまけに付き。空気が抜けていく風船のようにずっと止まらないそれにつられて、腕の力が抜けていく。
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