第二章 一部

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『自分のメールアドレスを変更すれば、二度とメールが届く事はないだろう』  そう高を括り、俺は携帯電話を放ったまま出かける準備をしていた。  ほんの数分前、高松さんから呼び出されたからだ。 たぶん、用という用ではないだろうが、早く行かないとまた彼は機嫌を損ねる。 遅くても40分。それ以上かかったら殴られるという事は経験済みだ。  服装はいつものように少し大きめのTシャツとジーパン。髪型はアップバンクショートヘアー。特に遠出をする予定がない時は、この服装で家を出る。  なにせ、この方が断然動きやすい。それに、汚れても良い服装の方が思いっきり遊べる。 「……晴輝、ちょっと話があるんだけど──」  携帯電話を手に取り家を出ようとする俺に、台所にいたお袋が声をかけた。  いつも午前様のせいか、お袋から帰る時間を聞かれたことがない。出かける時も行き先等聞かれる事もなく、ほぼ放置状態。 「……なんだよ?」  俺は、急いでいる時に限って声を掛けてくるお袋をうざったく感じた。
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