第二章 一部

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 前輪の隙間から腕が、後輪から足が、ひょっこりと顔を覗かし此方を見ている。 「うわあああああああ」  衝撃的な光景を目の当たりにした俺は、気でも狂ったかのような叫び声を上げ、一目散にその場から逃げた。  気が付いた時にはもう廃墟の近くまで来ていて、どうやってここまで来たのか正直覚えていない。  タイムリミットの40分は疾うに超えていたが、運良く殴られずにすんだ。 ──と、いうのも、集合をかけた高松さん自身が来たのは、俺が到着した時刻から30分も後。 「クソ爺が事故ったせいで道が混んでよ──」  ぶつくさと文句を垂れている高松さんの話からして、どうやら気味の悪い爺が事故に遭ってくれたお陰で俺は助かったようだ。  しかし、よくよく考えてみれば、遅れる原因を作ったのは爺本人。奴が目の前に現れなければ、俺が遅れる事は無かったと言える。  複雑な心情の俺を差し置いて、皆は事故の話で盛り上がっていた。  仲間の中に怖がる奴など一人もおらず、何故か笑い話のように話している。その中でも生首を写真に撮ったと自慢気に話す高松さんが、一番異常だった。
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