第二章 一部

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「(ここに)来る途中、変な爺さんに会ったんです。しかも、その爺さん身体が透けてて──」  俺は廃墟に来る途中に遭遇した出来事を真剣に話してみた。 「お前、昼間からラリってんのか~?」 けれど、誰一人として俺の話を信用する者はいない。  だが、『信じてもらえない』ということは、最初っから分かっていた事。こうして話している俺でさえ、その話を信じていないからだ。  かといって、馬鹿にされて平気な訳ではない。 『ははは、そうっスよね~』 内心、腸が煮え返るほどの苛立ちを感じていたが、この場に高松さんがいるので笑って誤魔化すほかない。  俺は、へつらってばかりの情けない自分に、心底愛想をつかしていた。なぜなら、本当の事を言っているのにもかかわらず、わざと頭の悪い嘘つきを演じているからだ。
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