第二章 一部

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 人の抱いた女を抱きたいなんて、誰が思うだろうか。 どうせなら、誰も手を付けていないような女を抱きたい。 「処女なんてめんどくせえだけだぞ。その内“結婚したい”なんて言い出すしさ──」  女を見ずに携帯を見ていた太一が、声を潜めて言った。 なぜなら、高松さんは大の“処女”好き。彼曰く、『他人のお下がりは汚い』らしい。  軽く潔癖性な彼は、情事を行う前に指で処女膜があるかどうか確かめるのだ。  それでも、高松さんはまだマシな類。一番危険なのは、皆に『クロ』と呼ばれている男、黒岩仁志(くろいわ ひとし)。俺よりも3つ上の先輩だが、同じ男でも引くほどの性癖を持っている。  しかも、この夏少年院を出たばかりで保護観察中だと言うのに、頭の中は強姦することしか考えていない。 「これ入れていいっスか?」 飢えに飢えているせいか、錆びた鉄筋を片手に異常な事を言い始めた。 「さすがに、やめとけ」  いつもは口を出さない安藤さんが、クロさんを止めた。誰が聞いても、女の性器に鉄筋を突っ込むなどあり得ない話。 「おもしれえから、やってみろよ」  しかし、皆が顔を引き攣(つ)らせている中、高松さんだけがそう言ってのけた。
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