第二章 一部

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『お母さんごめんね。私、もう疲れた。バイバイ』  とりあえず、自殺を仄(ほの)めかすようなメールを、女の携帯を使い彼女の両親宛に送った。 もちろん、廃墟の中ではなく、今まで来たこともないような知らない土地で。ちなみに、その携帯は修復不可能な状態まで壊し、山に向かう途中にあった沼へ捨てた。  女はどうなったかと言うと、高松さんがナイフで心臓を突き刺そうとした瞬間、突然安藤さんが高松さんの腕を掴み止めた。 そして、彼はこう言った。 『ナイフで刺すよりも、ロープで首を絞めて殺した方が自殺に見せかけやすい』 と。  やはり、安藤さんは少し変わってる。恭輔の時もそうだが、罪悪感があるように見せかけ、上手く死体を隠せる方法を提案してくるという矛盾。 (いったい何考えてんだ、この人) と、思いはしたが、その事を口にする奴が誰一人としていない為、口には出さず心の中で止める。 「ああ、おもしれえ」  誰も近寄らないような山奥のそのまた奥に生えていた太い木に、首にロープを巻いた状態で女を吊るした。 いかにも自殺に見えるような工夫を施した後、高松さんは木にぶら下がった女を写真に写し満足そうに笑う。
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