第二章 一部

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「マミね~、保育士になりたかったの~」  帰りの車の中。高松さんが、つい先程亡くなった女の言動を冗談半分で真似て、皆を笑わせる。 (あの女、マミって言うのか)  今の今まで知らなかった女の名前。良い思いでのないその名前に不快感をかんじつつも、笑って気を紛らす。 (そういえば──)  ふと思い出したのは、大量に送られてきたメールの事。アドレスを変えたので大丈夫だとは思うが、なぜか携帯が気になってしかたがない。  俺は、ズボンのポケットに入れてあった携帯を取りだし画面を見た。 『新着メール110件』 サイレントにしていたので気付かなかったが、あまりにも多すぎるメールの着信件数に目の玉が飛び出そうになった。 いったい誰が送ってきているのか送り主の欄を見ると、そこに表記されていたのはやはり知らないアドレス。 『usedimamaterasorokinatana@────jp』 何度読み返しても、そのアドレスには見覚えがない。
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