第二章 一部

19/20
前へ
/141ページ
次へ
 内容は、また全て同じ。 『なんで、どうして』 の繰り返しだ。  “なんで”と訊きたいのはこちらの方。異常な程メールを送ってくる理由を聞きたくて仕方がない。 『うぜえから、メールしてくんな』  意を決して、相手にメールを返した。どんな返しが来ようと、メールを送るのはこれが最初で最後。俺は気味の悪い奴と絡む気など毛頭ない。 『いやだ、愛してる。側にいたい側にいたい側に遺体──』  送ってから数分も経たずに返信が来た。 最後の文字は単なる誤字か。それは定かではないが、気味の悪さは相変わらずだ。 “ストーカーされてるの?”  お袋が言っていた事は、あながち間違いじゃないかもしれない。 そんなはずないと思っていたが、ここまでくると疑わない方が異常。  ミニメから始まり、大量の手紙。そして、異常な数のEメール。次は、電話が掛かってくるんじゃないかと俺はヒヤヒヤしている。  そんな時に限って、誰かから電話がかかってくる。 しかし、掛けてきた相手は知っている人間。俺の兄貴だ。
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

451人が本棚に入れています
本棚に追加