第二章 二部

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『俺は悪くない』  自分自身に言い聞かせるよう、頭の中でその言葉を何度も繰り返し言う。 恭輔、爺、女、お袋。立て続けに起きる悪い出来事から、俺の頭は逃げたくて逃げたくて仕様が無いのだ。  ベッドの上で横になった俺は、ジッと目を閉じて眠る準備をしていた。しかし、一向に眠くならず、刻々と過ぎて行く時間。カチカチと時間を刻む針の音がやけに煩かった。  気がづいたら、もう朝。まだ夏休みを終えてない為、学校へ行く支度をする必要も早起きをする必要もないのだが、妙にそわそわして身体が落ち着かない。 「仕事行くからな。帰りに母ちゃんの所へ寄って来るから遅くなる」  部屋の前に立つ親父は中へ入っては来ず、壁越しに言った。 「……ああ」 俺も壁越しに返事。どうにも、ドアを開けようという気にはなれない。 「早く起きて飯食え!!」  けれど兄貴は違った。 バンッと激しく扉を開け、堂々とした態度で中へ入ってくる。  返事は不要。 「食わねえと殺す」 と、言うより、兄貴は聞く耳を持たない。
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