第二章 二部

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 朝飯は、最悪だった。  食卓に着いてすぐ、ダンダンっとテーブルの上に前に置かれる料理が乗った食器。メニューはご飯、インスタントの味噌汁、ハムエッグ擬きといった質素なもの。  だけど、真っ黒に焦げた歪(いびつ)な形のハムエッグは、明らかに食欲を減退させる。 「いらね」  兄貴が恐いからといって、無理に食べるような真似はしない。 俺は向かいに座る兄貴の方へ皿を突き返しそっぽを向く。 「文句言わずに、とっとと食え!!」  腹を立てた兄貴が、テーブルをダンッと激しく叩いた。 その衝撃で食器は揺れ、味噌汁やお茶がテーブルの上へ溢れ落ちる。 「後で病院に行くからな!!」 「仕事は?」 「休んだ!!」  兄貴はそれを布巾で拭くと、口一杯に飯を頬張りながら食事を続ける。 モグモグ、ズズス。モグモグ、ズズス。 規則正しく聞こえてくる、食事をする音。 「ふーん」  始めは拒んでいた俺だが、あまりの空腹に鳴き始める腹の虫。 見た目がアレなので食べるかどうか迷ったが、観念して食べた。
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