第二章 二部

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「お願いします!! まだ15歳なんです!!」  人通りの多い道まで来ると、恭輔の母ちゃんが一人でビラを配っていた。 「おばちゃん、手伝うよ」 「ああ、晴輝君。ありがとうね」  汗を拭いながら力無く笑う彼女。なぜ、“手伝う”と、申し出てしまったのか自分でも分からない。 『それが、“罪悪感”と言うもの』 (違う!!)  電波のように飛び込んできた言葉を、声に出さずに全力で否定。 「お願いします!!」  我が子を想い捜し続けるおばさんの横で、顔に笑顔を貼り付けてビラを配る俺は、かなり性格が歪んでる。 『俺が殺しました』  そう言えたら、心がどれほど楽になるだろうか。 しかし、俺はそれを言い出すような真似などせず、淡々と作業をこなす。
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