第二章 二部

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 人と人との間から携帯の画面を覗き込むと、そこには血のように赤い字で、 『害悪児“高松哲二”今すぐ滅せよ』 と、書かれている。 明らかに死をほのめかす内容の書き込みだ。 「な、おもしれえだろ?」  だが、当の本人はケロリとしていて、見た限りでは特に気にしているようには思えない。 「そ、そうですね」 “ははは”と、誰かが小さく笑った。 辺りがしんと静まり返っているせいか、小さな笑い声も大きく聞こえる。 ドッ━━  ほんの一瞬、物と物がぶつかり合うような音がした。 ふっと横を見ると、太一の隣にいたクロさんの姿がない。代わりに、高松さんがそこに立っている。 「笑ったのは……てめえか?」  高松さんはうなり声を上げ、地面の上に倒れ込んだクロさんを力強く睨む。  どうやら、笑っていたのはクロさんらしく、笑われた事に腹を立てた高松さんが彼を殴ったようだ。
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