第二章 二部

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 何の前触れも無しに、高松さんがドライブに行くと言い出した。  高松さんの指示で車を出したのは、俺の嫌いな奴リストに入っている木山さん。俺と太一だけの時は自慢話のオンパレードだったのに、今日は夕焼け色の頭を掻きながらヘラヘラとへつらうように笑ってばかり。  所詮、木山さんは高松さんの腰巾着。彼がいなければ何も出来ない、ただの雑魚キャラだ。 「あ~、ダリい。腹へった、金ねえ、糞行きてえ」  自分が行きたいと言い出したにもかかわらず、文句ばかり垂れる高松さん。彼は助手席の窓から腕を出し、タコのように口を尖らせている。 「糞行きてえなら、便所に行けよ」 「こんなとこに便所があるわけねえやろ」 「コンビニならあるだろ」 「そのコンビニもねえんだよ。つうか、別に糞行きたくねえし」  俺の前に座る安藤さんが色々と提案するも、高松さんはそれを全否定。終いには嘘だと言いい始めたので、安藤さんは困ったような顔をしていた。
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