第二章 二部

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「きゃあああああああ!!」  部活終えたばかりであろう女子生徒が、俺を見るなり金切り声を上げ泣き叫ぶ。 「ち、ちが――」  咄嗟に猫を投げ捨てた。すると、地面の上に落ちた猫は、下半身を無くしたまま硬直している。  “可愛そう”等という感情は全く生まれなかった。 俺が感じたのは、嫌悪感と吐き気。 胃酸が込み上げてくると同時に、ズキズキと火傷を負ったかのように喉が痛む。 「何事だ!!」  叫び声に駆けつけてきた中田が大きく叫ぶ。 「お前――」 同行していた重森は床に転げた猫を見るなり、俺に疑いの目を向けた。 「何て事してくれたんだ!!」  まるで俺が犯人だと決めつけるような言い方。事情も聞かず誰かを責めるのは重森の専売特許。 「俺じゃねえよ!!」 「お前じゃなければ誰がやったんだ!!」 「そんなこと、俺が知るかよ!!」 「知らないで済むような問題じゃない!!」 いくら無実を叫んだところで現状は変わらず、疑われたままだ。
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