第二章 三部

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「あん……あっ――」  俺の上で激しく揺れる女は、媚びるような鳴き声を上げ口元を緩ます。だらりと垂れたよだれは、顎を伝いポタリと俺の腹に落ちた。 『女は懲り懲り』  その気持ちは今でも変わらない。それでも、性に対する欲は別物。俺はただ、欲の捌け口が欲しいだけだ。  相手の名前は知らない。と、言うより覚える気がない。 ゆいいつ知っているのは、同じ学校に通う一つ上の先輩だということだ。 「気持ちよくしてあげる」  そう言った女は、飢(う)えた動物のように肉棒に食らいつく。ネチネチとねちっこく舐めている姿を見ていると、妙に下半身が疼(うず)く。 (こいつ、馬鹿だろ?)  とろんととろけた目を向ける女を前に、俺は鼻で笑う。 何が“気持ちよくしてあげる”だ。 「何にも感じねえ……」  今は使われていないバス停の待合所で、俺は小さく呟く。
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