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「じゃあ仕方ないわね」
そう言って母はリビングから出て行った。
最近、母の落ち込んだ様子をよく見る。
理由は私だ。
この顔を見るたびに私は胸が痛くなる。
父は私が小さい頃に亡くなった。
とても優しく大らかな人だったらしい。
父と遊んだ記憶すらない程小さな頃の事だった。
それからずっと母は一人で私を育てて来た。
自分で言うのもなんだが母はちょっとズレてるがかなり美人だ。
ご近所でも有名な程に
私も大きくなって一度尋ねた事がある。
なんで再婚しないの?と
「お父さんよりも優しい人がいればね」
そう言った母はとても良い笑顔だった。
多分現れないだろう。
私はなんとなくそう思った。
母さん。ごめんね。私頑張るから。
ガチャリという扉を開く音に続いて母がリビングに戻ってきた。
「出て行け」
片手に私の衣服等が入っているであろう大型キャリーケースを持って。
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