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代わる代わる、みんなで、陣平不在の間の出来事を、語って聞かせた。
陣平は、子供の姿になったときの記憶もある。
「天風のヤロウ、今度会ったら、存在ごと、消してやる。
チリ1つ残しゃしねえ。」
物騒なことを口にした。
みんなが、おや?と、感じた。
瀬織は、黙っていたが、見当がついている。
陣平の封じられていた性格が、以前より外に出てきているのだろう。
明日から、陣平のやることの1つは、天風を探し出すことだ。
ハカセは、
「今は、忠丹国に戻ったろう。」
と、推定した。
「けっ!
上等だ。
ジェイクン!」
陣平の後ろに、ジェイクンの端末が、人間サイズで現れた。
霊服が張られていないのに、ジェイクンだけを呼び出した。
瀬織も、面食らった。
「あら?」
霊服は健在らしい。
しかし、どこに張っているのか、見えない。
陣平は、
「天風を探せ、国外でも、見つけるんだ。」
と、命じる。
「了解。」
ジェイクンは消えた。
霊服が張られていないのではなく、体の内部に張っているのだ。
それにしても、陣平は、元来、攻撃的な性格をしているのかも知れない。
と、瀬織は、考えている。
だが、それだけでもなかった。
まだ、瀬織も、わかっていない。
寝るころになると、陣平は駄々をこねた。
「今日は、スラリと寝る。」
洗い物をキッチンでしていたスラリが、顔を出した。
「私は構わないけど、順番からいくと、ドジコか、アネサンでは?」
ソファに丸くなって、
「今日は、スラリがいいんだもん。」
と、陣平はいじけた。
瀬織は、これはまずいと感じた。
心のタガが、外れている。
子供の姿の陣平と、以前の陣平を足して2で割ったような有り様だ。
米本にダイブを願うしかない。
状況を確認してもらうのだ。
瀬織のダイブでは、そこまで詳しく見られない。
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