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2時間かけて、米本は変更作業を終えて、抜け出した。
米本が頭を離す。
「うわ、なんか、モヤモヤするなあ。」
と、陣平は自分の頭を撫でた。
陣平は、少し大人しくなったように見えた。
瀬織はすぐに、下半身の気の制御を教え始めた。
ようやく落ち着いたのは、日が暮れる頃だった。
米本は術後の経過を見るために、その晩は泊まることになった。
そこまでしても、陣平は少し、子供っぽさが残った。
ソファで、テレビを見ている瀬織の横に座り、ベッタリくっついてご満悦である姿は、子供そのものだ。
「やれやれ。」
瀬織は、しばらくは悩みそうだと覚悟を決めた。
びくん、と、陣平は身を起こした。
目付きが変わっている。
子供の目が、男の目になっている。
ジェイクンが陣平の後ろに現れた。
「報告します。
天風の所在を見つけました。
忠丹国の首都、北都です。
北都の南西にある軍事施設に、いました。」
陣平は
「御苦労。
で、他には?」
と、小声で言う。
瀬織にくっついてニコニコしていた男とは思えない。
ジェイクンは、感情を少し持ったような抑揚で話す。
「何かの訓練プログラムを受けています。
残念ながらプログラム内容は、ハッキング出来ません。
電子化されていない紙媒体のようです。」
それは、そこにいた全員に聞こえている。
陣平は瀬織にきいた。
「乗り込むのは危険かな?」
「そうね。」
瀬織は当然、そう答えた。
「なら、呼び出すか。」
瀬織は、止めた。
「その前に、自分の戦力を確認しなくては。」
陣平は、
「実は俺も、そこは、気になっていた。
まあ、負ける気はしないが…」
と、自信を匂わせてはいるが、思い直した。
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