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島の木材を斬り倒し、刀で板材にする。
海のなかにもぐり、岩を大量に拾ってきた。
それを四角く、巨大なレンガのように切り刻む。
1メートル角のサイズの四角い岩を組んで、土台を作り出す。
回りに壁を作り、窓は、ガラスはないので、植物をすだれのように垂らした。
床を木材で作り、屋根も木材を葺いた。
石材で、蝶番を作成、木材を用いてドアを作った。
ついでにかまどや、大きな甕、炊事場をつくる。
甕は水の確保に必要だ。
次第に、面白くなり、陣平はやたらと凝りだした。
テーブル、椅子、ベッドも作る。
布団は海草を干して、大きな海草でくるんで作る。
瀬織も、大量の魚を獲ってきた。
空から降りて、家の回りを歩いて眺める。
中に入り、テーブルに魚を下ろす。
瀬織は、
「しかしまた、凝ったわね。」
と、満足そうだ。
木材の切断表面を撫でて、確認する。
「切れ味は、悪くない。」
カンナをかけてニスを塗ったように、すべすべだ。
瀬織は、料理にかかった。
食器や火種、調味料は持ってきている。
魚尽くしの料理を食べながら、瀬織は、この仕事の本当の意味を明かした。
「霊服をどれだけ繊細に操れるか、見たかったのよ。
サバイバルで、そういう細かい操作を覚えれば、身に付くのも早い。」
陣平は、ニヤニヤした。
「で、どう?
合格?」
「切れ味は、合格。
細かい細工も、まあまあ。
あと、熱の出し方や、熱の取り方、衝撃の吸収、その他もろもろ、
基本的な応用を覚えてもらう。」
陣平は、おや? と首を傾げた。
「あの、なんか、今までの演習場の時と違って、地味だね。」
瀬織は、焼き魚をかじりながら、
「力を引き出せれば、それでよかったレベルは、おしまい。
正直、あなたは仙人になれないと思っていたから、霊服を強化することばかりやって来た。
それが、仙人になっちゃったからねえ。
色々覚えてもらわないと。
それに、たぶん今なら、単純なパワーでは、私より強いと思う。」
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