転換

17/17
前へ
/17ページ
次へ
陣平は、無邪気に喜んだ。 「やった、そこまで来れたかあ!」 「喜ぶのはまだ、早い。 お相撲が強くても、それだけじゃ…。 ここから、あなたがどんなタイプに化けるか、わからないんだから。」 陣平には、ぴんときた。 「ああ、姉さんは、ごり押し戦闘タイプだし、 お義母さんは、精神医療タイプだし、 そういうタイプのこと?」 瀬織は、まだ焼き魚の骨を丁寧にしゃぶっている。 「まあ、あれで、母さんも実際に戦えば、けっこうスゴいのよ。 戦闘に、向いてないけどね。 … あたしだって、精神感応も多少は、できる。 でも、ああいうのは苦手だわ。 … というように、得意な方面が個性により、突出してくる。」 「俺は、何に向いてるのかなあ。 ウフフ。」 自分のことなのに、他人事を楽しみにするように、陣平は微笑んでいた。 陣平は、食事を終わらせた。 手を合わせて、ごちそうさまを唱えた。 瀬織は、安心していない。 仙人になったものの、陣平の精神は不安定だ。 (まあ、それも楽しみと思えばいいわ。) 瀬織は、出来の悪い子供ほどかわいいと言う例えを思い出した。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加