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まだ陣平は帰ってこない。
前より、AILは忙しくなっている。
シズカが戦力として活動しているが、忙しかった。
仙人の体を得たドジコも、かなりの戦力ではある。
霊服は無くとも、力は人間離れしている。
だが、瀬織は、ドジコにも霊服が出せる可能性を探っていた。
元が瀬織の体なので、可能性はゼロではない。
崩壊しかけている統創天会への追い込みもしている。
そんなバタバタの、新宿のAILの研究室に、瀬織を訪ねて、客が来た。
ベリーが正面受付からの内線電話を、とって話を聞いている。
研究室は、防衛省の中にあり、4重のチェックを受けないと、たどり着かない。
受付からの連絡は、瀬織に面会を依頼している人物がいるという。
若い男女で、青葉 公介、佐倉 サユリと、名乗っている。
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(青葉 公介と佐倉 サユリの詳細は、本編の外伝にあたる、『唇から精獣 ポチ』に、書かせていただきました。)
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話を聞いた瀬織は、受付に出向いた。
狭い待ち合い室にいたその2人は、瀬織が行くと、腰を上げた。
男は平凡な若者、女性はキリッとした美しさがある。
2人とも、陣平達と同じか、やや、歳上に見える。
だが、瀬織は、一目で、その尋常ではない事態に気がついた。
男の方は、陣平とまったく同じ気を発している。
同一人物が、別の人生を歩んできたら、こうなるだろうと思われるような、同一性だ。
後天の気、つまり、経験により作られた気の方が、異なっている。
2人は頭を下げた。
男の方が、挨拶を述べた。
「お初にお目にかかります。
この時代の、瀬織さん。」
瀬織は、どう答えたものか、思案した。
戸惑いをそのまま、口にした。
「さて、どこから聞けばいいのかしらね。
まずは陣平との関係、それに青葉という姓はスラリの関係もあるのかしらね。
いっしょにいるのは、ナデシコと同じ佐倉の姓のお嬢さん、
ましてや、私を知っているかのような口ぶり、
突っ込みどころ満載ね。」
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