転換

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公介は、頭をかいた。 「話せば長いのですが…」 瀬織は、研究室のメンバーのいないところで、腰を落ち着けて話を聞くべきと考えた。 「わかった。 お茶に付き合ってくれる?」 瀬織は喫茶大正堂に、2人を連れていくことにした。 大正堂には、ジイサンと、その奥さんがいた。 他に、アルバイトの姫という大学生の忠丹国人がいるのだが、今日は休みのようだ。 瀬織達は、一番奥のボックスシートに座った。 ジイサンが、妙な顔つきをしながら、水とメニューを持ってきた。 「お嬢、お客様かい?」 「ええ。」 ジイサンは、公介をしげしげ見る。 そして、 「どこかで、お会いしたかな?」 と、聞いた。 公介は、首を振った。 「いいえ。」 「そうか。すまないな。」 ジイサンは下がった。 公介は、長い話を始めた。 公介が陣平のクローンであること、 亡くなった青葉 公介に事情により成り済ましていること、 佐倉の血筋のサユリの精獣として、未来に行っていたこと、 未来は大戦で荒廃していたこと、 そして、何回かのタイムスリップを繰り返し、今の時代にようやく来たこと、 タイムスリップは、過去方面、未来方面、と方向は設定可能。 しかし、狙った年に行けるほど精度はない。 そこでなるべく過去に行こうと、数回、スリップをして、今、ここに来た。 ゆえに、各年の瀬織達に会ってきたこと、 これらをまとめて話した。 そして、制限があるという。 「タイムスリップが出来るのは、あと、1回か2回、運が良くても3回くらいです。 もう能力が切れると、体感でわかるので。 俺は、サユリの時代に落ち着きたい。 だから、今回が最後の過去へのスリップのつもりなんですよ。」
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