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瀬織は腕を組んで、うーん、と唸った。
「まあ、私も大概のことは、驚かないけど、これは、にわかに信じがたいわね。」
公介は、クスッと笑った。
「未来の瀬織さんが、こう言ってました。
人類の9割を、誤って滅ぼしてしまった神が、
やり直しをするために、俺とサユリを動かしている、
と。
いずれ過去に行くだろうとも、言ってました。」
「なんか、確かに、私が言いそうだわね。
仙人は神に、若干近いからね。」
「それも、言ってましたよ。」
「ま、それでも、なんらかの証明はしてもらわないとねえ。
証明できる?」
「ここでは、ちょっと無理。
人目につかないところで、精獣については見せます。
ここは、これで勘弁してください。」
公介は、座ったまま、腕を回した。
小さい声でボソッと言った。
「ヘンタイ。」
公介の周りに、霊服が発生した。
日曜朝に放送されているヒーローモノの、
『仮面ライガー ジェノサイド』の形状をしている。
霊服は、他の人には見えない。
瀬織だけは見える。
瀬織は、にた、と、笑った。
「なるほど。
陣平臭いわね。」
研究室に連れていくことにした。
呼びつけられたナデシコとスラリ、シズカが研究室に到着した。
スラリが先頭で、入ってくる。
「お待たせしましたあ。
学生組、ただいま、到着…」
スラリは、公介を視界にとらえた。
「え?」
と、怪訝な顔をした。
そこにいる男は、まだ幼いはずの、従弟の公介によく似ている。
それに、気が、陣平に似ている。
シズカも、陣平と同じ気を感じた。
ナデシコは、気を視覚的に感じられないが、雰囲気でわかる。
シズカは、勘違いをした。
「アネサンも人が悪い。
陣平が帰ってきたのね!」
公介に近より、顔をグニグニと引っ張った。
「陣平、顔が変わってるけど、前より男前になりたかったの?」
公介は、否定した。
「いや、実は、俺は、」
「元の方が、好みだったなあ。
ん?」
グニグニと顔をいじるほどに接近したので、ようやく気がついた。
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