転換

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「な、なんだか、おかしいな? なんだか、これは…まるで、何百人も…」 忠丹国で、その道の人間を何人も見てきたシズカには、感知できた。 公介のオーラにどす黒い色がわずかに混ざっている。 その理由は、大概の場合、人を殺めている。 瀬織は、大量に殺めているが、仙人のためか、どす黒さは、ほぼない。 パンパンと、瀬織が手を叩いた。 「はいはい、陣平はまだ帰ってこないわよ、 その子は、青葉 公介。 陣平ちゃんじゃないのよ。」 ちょうどそこに、ノンベが到着した。 ノンベは、公介を見て、特に何も言わない。 普段は、見る能力のスイッチを入れてないからだ。 ソファに全員座らせて、瀬織は話を始めた。 と言っても、さっき聞いた話を繰り返しただけである。 ハカセは、真っ先に、公介にたずねた。 「で、何しに来た?」 公介は、言葉に詰まる。 サユリが代わりに答えた。 「目的は、2つ。 先のことを知れば、大戦を止められるかも… ということと、 何か手伝えることがあれば、ご協力させてください。」 瀬織は、ドジコにお茶を淹れるように命じた。 そして、誰もが思っていたことを、指摘した。 「未来を変えられたとして、あなたがた、戻っていいの? 自分の存在が無くなってた、 なーんてことにならない?」 サユリは1度話し出すと、公介の出る間もなく話す。 「それは、何回か過去に行き、未来に戻って、確認しましたが、 大丈夫のようです。」 大丈夫、だけでは、みな、頭の上に?マークをつけている。 サユリは補足した。 「過去を変えたことがありまして、それでも未来に生まれていた人間は、いなくならない。 取り巻く事情が変わるだけで、人はいなくならない。」
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