転換

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瀬織は、反応した。 「て、ことは、何? 未来の私は、赤ちゃん抱けるの?」 「そりゃもう、ベロンベロンのおばあちゃんで、目に入れても痛くないってヤツです。 まだ、腹の中にいて、産まれてなかったけど。」 「長生きはするものね。」 スラリは突っ込んだ。 「長すぎでしょう。」 ハカセは、さっそく、協力を依頼した。 「公介とやら、精液をもらいたい。」 公介は、予測していたようだ。 「わかってます。 俺は未来に帰って、ここにいなくなる人間ですから、この時代で新たに妻をとることは出来ません。 ですが、俺の遺伝子は、寸分たがわず、陣平さんのモノですから。」 瀬織は、ゾクゾクしてきた。 「これで、陣平が再生すれば、失ったモノは形は違えど、帰ってきたことになるわね。 ドジコの肉体だけは申し訳ないけど。」 しかし、肝心の嫁達は、気乗りしてない。 シズカが、遠慮なく述べた。 「そうは言ってもねえ。 なんか、釈然としない。 正直言えば、クローンとはいえ、やはり、別人の子種だから。」 お国のために、嫁に来たナデシコですら、 「そうですねえ。 陣平さんのを、植えてもらいたかったですねえ。」 と、不平をもらした。 ドジコは、そうでもない。 「でも、冷凍保存の精子と、生で保管されていた精子の違いだけですよ?」 ハカセは、 「まあ、理屈はそうだな。 とりあえず、遺伝子情報を分析しよう。 まったく同じか、調べておかないとな。」 と、冷静に見えて、問題を先送りしただけの意見を言う。 公介は、サユリを吐き出し始めた。 サユリが、ぬろーん、と、出てきた。 瀬織は、 「どうなってんのかしらね。それ。」 と、興味津々だ。 サユリが再生した。 何事もなかったかのように、顔についている公介のよだれをハンカチで拭き取る。 そして、座った。 「精獣として、多少の戦力は身についてますが、霊服には及びません。 よって、未来の他に私たちにできることは、未来の情報を伝達するくらいでしょう。」 最後にスラリは、確認した。 「今、この時代の青葉 公介に、未来の情報を伝えてもいいの?」
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