5人が本棚に入れています
本棚に追加
瀬織は、反応した。
「て、ことは、何?
未来の私は、赤ちゃん抱けるの?」
「そりゃもう、ベロンベロンのおばあちゃんで、目に入れても痛くないってヤツです。
まだ、腹の中にいて、産まれてなかったけど。」
「長生きはするものね。」
スラリは突っ込んだ。
「長すぎでしょう。」
ハカセは、さっそく、協力を依頼した。
「公介とやら、精液をもらいたい。」
公介は、予測していたようだ。
「わかってます。
俺は未来に帰って、ここにいなくなる人間ですから、この時代で新たに妻をとることは出来ません。
ですが、俺の遺伝子は、寸分たがわず、陣平さんのモノですから。」
瀬織は、ゾクゾクしてきた。
「これで、陣平が再生すれば、失ったモノは形は違えど、帰ってきたことになるわね。
ドジコの肉体だけは申し訳ないけど。」
しかし、肝心の嫁達は、気乗りしてない。
シズカが、遠慮なく述べた。
「そうは言ってもねえ。
なんか、釈然としない。
正直言えば、クローンとはいえ、やはり、別人の子種だから。」
お国のために、嫁に来たナデシコですら、
「そうですねえ。
陣平さんのを、植えてもらいたかったですねえ。」
と、不平をもらした。
ドジコは、そうでもない。
「でも、冷凍保存の精子と、生で保管されていた精子の違いだけですよ?」
ハカセは、
「まあ、理屈はそうだな。
とりあえず、遺伝子情報を分析しよう。
まったく同じか、調べておかないとな。」
と、冷静に見えて、問題を先送りしただけの意見を言う。
公介は、サユリを吐き出し始めた。
サユリが、ぬろーん、と、出てきた。
瀬織は、
「どうなってんのかしらね。それ。」
と、興味津々だ。
サユリが再生した。
何事もなかったかのように、顔についている公介のよだれをハンカチで拭き取る。
そして、座った。
「精獣として、多少の戦力は身についてますが、霊服には及びません。
よって、未来の他に私たちにできることは、未来の情報を伝達するくらいでしょう。」
最後にスラリは、確認した。
「今、この時代の青葉 公介に、未来の情報を伝えてもいいの?」
最初のコメントを投稿しよう!