転換

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公介は、気にしていない。 「いいです。 というか、伝えてあげましょう。 死なずに済むかもしれない。」 「結果として、公介の顔が、その顔ではなくなるかも?」 「まあ、それもいいでしょう。」 公介は、陣平に比べると、落ち着いている。 同じ遺伝子でも、同じ人間ではない。 未来の瀬織は、陣平を『温室育ち』と、評したことがある。 故意ではないが、数百人を殺めても、目的を完遂した公介とは、違う。 公介達は、瀬織の家への逗留を奨められたが、それは断った。 代わりに、となりのマンションの部屋を借りることにした。 未来の陣平に会っている関係で、本人不在の家に、その家族と住むことは、遠慮したのだ。 少なくとも、未来に陣平は、いた。 まだ帰ってこないが、いずれが、帰ってくることは、わかったことになる。 ハカセは公介の遺伝子情報を検査、陣平と変わらないことを立証した。 米本にも協力を仰ぎ、気の出方等を検査してもらった。 生殖を避ける陣平の遺伝子と、生殖を好む公介の遺伝子、という差以外は、同一、と、判定された。 公介達は、未来でのことをハカセをメインに伝達ししている、記録を映像等も含み作成した。 ところが、その記録を作成している過程で、公介達は、つい最近、エベルキン大国が滅んだことを聞かされた。 研究室の会議室を使って、公介、サユリ、ハカセは記録を作成していたのだが、公介とサユリは、ハカセからそれを聞いて愕然とした。 サユリは、頭をガシガシかいた。 「未来は相当変わってるかもね。」 公介も、そう考えた。 「悪い方には行かないとは思うけどな。」 ハカセは、未来において、エベルキン大国がキーを担っていることを、公介達から聞いて知った。 ハカセは、つぶらな瞳を片方つぶって考える。 「ま、それだけで大戦が止まるわけでもあるまい。」 あまり、楽観はしない。 だが、未来がいかに不確定なものか、それは感じた。
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