転換

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大量に、公介の精子を冷凍保存し、記録も取り終えて、公介達は、ここでの役割は終えた。 過去で何事かあっては、未来に残してきた妻子に申し訳が立たない。 瀬織は、早々に彼らを帰すことにした。 ささやかな宴会を開き、その翌日の朝に、瀬織が彼らのマンションの部屋を開けると、彼らの姿はなかった。 未来に希望が持てただけでも、彼らには感謝しきれない。 瀬織は、カラッポになった彼らの住んでいた部屋に、軽く頭を下げた。 当面の課題は、 米本はエベルキン大国滅亡に関して、山積み、 瀬織達、AILは、国内の在日元のエベルキン人の制御、 陣平が戻れば、陣平には、天風との落とし前がある。 嫁達は、公介の子種に抵抗があり、瀬織は、これの懐柔もしなければならない。 瀬織は、室長室で、疲労感を感じていた。 「実は、何も解決してないのよね。」 独りつぶやいた。 家に帰っても、瀬織は、何となく、だるい。 リビングのソファに埋もれて、ウイスキーをストレートで飲んでいる。 学生組の3人も帰ってきて、そこは、いつもの日常の風景である。 何か、張り合いがない。 ドジコは、キッチンで鼻歌を歌いながら、夕飯を作っている。 「早く帰って来ないかな~」 何の替え歌かわからないが、ドジコのその歌を聞いて、瀬織は、納得した。 (ああ、陣平がいないから、張り合いがないのね。) 精神的な依存があったことを自覚した。 (嫁達が、公介の遺伝子で妊娠したくないのも、無理はないか。) 瀬織は、酔うことにした。 (明日は、土曜で休みだし、酔わなきゃやってられないわ。) 完全分解してしまえば、酔わないのだが、アルコールを吸収して酔うことにした。 (陣平、早く帰って来ないかな…)
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