お嬢さまの初体験。

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「すげー! お前、最高だぜ!  オレのオトモダチになってくんねぇ?  ……いやいや、いっそのこと彼女にならねぇ?  今、丁度女切らしてる所、だったんだ」 「けっ……結構です」  本当に、怖かった。  この、神無崎さん、っていう人!  一番最初に見かけた時は、人ごみにまぎれて儚く消えてしまいそうな雰囲気があったのに。  今、わたしの手を握ったまま、次々としゃべる彼は狙った獲物を逃がさない獣みたいだ。 「ええ~~彼女になれよ。  オレの彼女の席って、結構レアだぜ、レア!  毎回、だいたい定員一名しか募集しねぇし、しかも、あっという間に埋まる」 『だいたい』定員一名って!  ソレが二名以上になったら普通、浮気っていう状態じゃあ……?  イヤ~~  わたしは思い切り、ぶんぶんと首を横に振ったけれど、神無崎さんは全く気にしてくれなかった。 「おお、照れてるのか? 可愛いな」 「違いますって!  なんで初対面で、名前も知らないのに、お友達だの、彼女だのって言うんです!」 「名前~~?  そんなもんが、問題なのか?  オレはお前が気に入った。だから、それで良いじゃないか。  お前の着てる制服は『君去津』の『一年』だろう?  これだけ判れば、お前の居所なんて簡単に探せるし。  名前が、山田花子だろーが、鈴木なんとかだろーが全くかまわねぇ。  本名が気に食わなけりゃ、オレはお前を好き勝手に呼ぶ」
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