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「……なんだ裕也。
朝っぱらから、どーして女相手にケンカ売ってんの?
元気なヤツだな。
殴り合いなら、昨日散々ヤッたじゃん。
まだ足りねぇなんて、そーとーなケダモノだよ、あんた」
「宗樹」
「宗樹!?」
神無崎さんの声に振りかえれば、そこに彼が、いた。
藤原宗樹、爺のお孫さんで、これからわたしの先輩になる人だ。
背、高いなぁ、ってぎょっとした神無崎さんより若干低い感じするけど、155センチのわたしより、20センチは背が高い。
君去津の制服を軽く着崩し。少し長めの茶色がかった、さらっさらの髪を後ろでくくってる。
眼光鋭い狼みたいな神無崎さんに比べれば、だいぶやさしい違うタイプのイケメンだ。
藤原宗樹、って、言われてみればなんとなく。
年をとっても年齢不詳の俳優さんみたいに整ってる爺の面影のある。
甘い中性的な顔立ちをしているけれど……弱々しい感じがまったくしなかった。
だいたい彼の口元にも、神無崎さんより酷くないものの、殴られて切れた跡があるし……って。
このヒトも、昨日ケンカしたのかな? って思ったり。
うんと小さなころは、こんな風に人と争うコじゃなかったような気がして。
宗樹の傷ついた顔から、目が離せない。
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