お嬢さまの初体験。

20/51
前へ
/255ページ
次へ
 思わずじっと眺めているわたしに、宗樹はちょっと肩をすくめると、そのまま。  すたすたとわたしたちの間に割って入り、神無崎さんの傷ついた方の頬をそっと撫でた。 「お~~お。  見事に腫れてきやがったな~~  こりゃ、ごまかすのが、めんどくさそうだ」  ま~~た、手間かけさせやがる、なんて。  気軽に言って笑う宗樹の手を振り払って、神無崎さんは怒鳴った。 「……っ!  お前、いっつも取り澄ました顔してっくせに、なんか爺さんと怒鳴りあってたじゃねぇか。  西園寺がらみで、なんか面倒なことになってるんだろう?  だから、オレは何時も世話になってるお前に、少しぐらいなんか返そうと思ってだな!」 「……女にケンカ売ってた?  ちがうな。野次馬根性で西園寺の女を、探したんだろう?  で、ついでに面倒臭い女だったら、俺のために排除しようと思ったのか?」 「う~~判ってるよ、みっともねーことぐらいは!」  一言喋るたびに顔が痛いだろうに。  宗樹は、ぎゃーぎゃーと騒ぐ神無崎さんの肩をいなすようにぽんぽん、と叩いた。 「お前のクソ熱っちい友情ごっこはキライじゃねぇけどな。  俺だって、自分の面倒は、自分で見れるぜ?  お前は、女はナンパするもんで、戦う相手じゃねぇ。  どんなにクソムカつく相手でも下心丸出しで、優しくするって、常日頃言ってるじゃないか。  オレのためにそいつを曲げんじゃねぇよ」
/255ページ

最初のコメントを投稿しよう!

791人が本棚に入れています
本棚に追加