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思わずじっと眺めているわたしに、宗樹はちょっと肩をすくめると、そのまま。
すたすたとわたしたちの間に割って入り、神無崎さんの傷ついた方の頬をそっと撫でた。
「お~~お。
見事に腫れてきやがったな~~
こりゃ、ごまかすのが、めんどくさそうだ」
ま~~た、手間かけさせやがる、なんて。
気軽に言って笑う宗樹の手を振り払って、神無崎さんは怒鳴った。
「……っ!
お前、いっつも取り澄ました顔してっくせに、なんか爺さんと怒鳴りあってたじゃねぇか。
西園寺がらみで、なんか面倒なことになってるんだろう?
だから、オレは何時も世話になってるお前に、少しぐらいなんか返そうと思ってだな!」
「……女にケンカ売ってた?
ちがうな。野次馬根性で西園寺の女を、探したんだろう?
で、ついでに面倒臭い女だったら、俺のために排除しようと思ったのか?」
「う~~判ってるよ、みっともねーことぐらいは!」
一言喋るたびに顔が痛いだろうに。
宗樹は、ぎゃーぎゃーと騒ぐ神無崎さんの肩をいなすようにぽんぽん、と叩いた。
「お前のクソ熱っちい友情ごっこはキライじゃねぇけどな。
俺だって、自分の面倒は、自分で見れるぜ?
お前は、女はナンパするもんで、戦う相手じゃねぇ。
どんなにクソムカつく相手でも下心丸出しで、優しくするって、常日頃言ってるじゃないか。
オレのためにそいつを曲げんじゃねぇよ」
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