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「女に手ぇあげた覚えねぇし。
……ナンパの真似事はとっくにやってみた。
始める前に、玉砕したっぽいけど」
「ぷっ、は。あははは~~」
ふてくされた神無崎さんの声に、宗樹はぷっと、吹きだして笑い。
彼もまた、神無崎さんと同様、顔が痛い、と頬を押さえた。
こ~の~ひ~と~た~ち~は~
呆れるわたしと、ふてくされる神無崎さんを無視してひとしきり笑うと、宗樹は、突然ひょい、とわたしの手を取り引っ張った。
わ……わわわっ、何するのよっ!
本格的に転びかけたわたしを、軽く抱きとめ、宗樹が笑う。
「悪りぃな、裕也。こいつは、やれねぇ。
お前のナンパの相手も、ケンカの相手もさせるわけには、いかないからな」
気がつくと、宗樹はわたしの手を勝手に恋人つなぎに握ってる!?
もちろん、わたしは宗樹と付き合ってるわけでは、もちろん無く。
それどころか、何年か判らないぐらいぶりの再会で、気分は初対面の神無崎さんとそう、変わらない関係のはずなのに。
ビックリして、固まっているわたしを、当たり前のように自分の近くに引き寄せている宗樹をみて、神無崎さんが息をついた。
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