お嬢さまの初体験。

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「……えっと、カード?  爺に……じゃなかった。宗一郎に電車の乗り方教えてもらった時は、確か。  電車の路面図をみて、調べた運賃分の切符を自動販売機で買って。  切符を駅員さんに、ぱちんと挟んでもらってから改札を通れ……って」 「……へ?」  わたしの言葉に、宗樹は信じられないコトでも聞いたかのように、きょとん、とした顔になった。  えっ、わたし、何か間違ってた?  うーん、と。確かこれでいいはず、だけど。 「……で、君去津までの切符欲しかったんだけど、路面図に載ってなくて」  両手の人差し指をつんつん突き合いながら「ちょっと困ったかなぁ」って言ったら宗樹の顔がぴきっとひきつった。 「改札通るのに、切符を駅員に挟んでもらえ、だって!?  あんの、くそじじい!  最後に電車に乗ったの、いつだよ!」 「えっと、あの……宗樹?」  なんだか、とても怒っているみたい。  叫んだ宗樹に声をかけたら彼は、わたしを睨んだ。 「君去津の駅名無いのも当たり前!  私鉄の駅なんだから!  JRの路面図に、書いてあるわきゃねぇだろ!」 「えっ! そうだったんだ……」  驚いているわたしに、宗樹は獣みたいに喉をぐるぐる鳴らして唸り。  今度は、答えを聞くのが心底イヤそうに質問した。
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