お嬢さまの初体験。

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「食べられちゃうって……!  ホラー映画の食人鬼みたいに、頭から、こう、ばりばりと……」 「……ちげぇよ。  あんた、本当になーーんも危機感無いんだな。  裕也が出るまでもねぇ。  俺が、あんたを食ってみせようか?」 「……え?」  宗樹は、妖しく微笑(わら)うと、わたしを見つめて急に近づいて来た。  それが、キスでもされそうに近くて、ドキドキする。  わ、わたし、本当に食べられちゃうの?  でも、なぜか怖くは無かった。  顔、キレイだからかな?  ……口元の傷が無ければ、もっとカッコいいのに、なんて。  わたしも、宗樹から目がそらせなくて。  すぐ上にある顔をじっと眺めてたら、最初に目をそらせたのは宗樹の方だった。  わたしの瞳を覗き込んでた視線を外し、壁についてた手を離すと、改めてもう一度、壁を殴りつけた。 「~~くそ、ナニやってるんだ、この俺は!」 「宗樹?」 「う………るっせぇ! 来い!  しかたねぇから、ガッコには連れて行ってやる!」  宗樹は、わたしの手首を力任せにぐぃと引っ張った。 「きゃ~~!  いきなり、そんなに乱暴にしたらわたし!」  転んじゃう!
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