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「そ……宗樹。
ここ……なんで、こんなにヒトがいないの?」
呆然と聞けば、宗樹はひょい、と肩をすくめた。
「さあ。
とりあえず、今はふつーの通学時間より、だいぶ早ぇからじゃねぇの?
それに、君去津のヤツらは、ほとんどここの真反対方面からバス通してっからな。
海が近いし、海水浴シーズンは超~~混むけどそれ以外、駅は大体こんな感じだぜ?」
「……なにか、迫力ある駅だよね?
出るって噂ない?」
「出る? ああ、幽霊とか?
そんなもん出るわきゃね……」
……って、そこまで言いかけて、宗樹の目がすぃ、と細くなった。
「……なんだ、お嬢さんは、ここが怖いのか?」
「こっ……怖くなんてないもん」
なんだか意地悪~~
身構えたわたしに、宗樹は、ふん、と息をついた。
「そうか?
俺は、ここでの『怖い噂』を聞いたことあるぜ?」
「……怖い……噂?」
「ああ。
あんた、ここら辺の地域と、高校の名前の元になっている、君去津(きさらづ)の由来って知ってるか?」
「ううん」
知らない、って首を振ると、宗樹はますます目を細めた。
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