791人が本棚に入れています
本棚に追加
「君去津高のヤツらだけで結成されたCards soldier(カーズソルジャー)ってインディーズバンドの、曲。
その中にいた『スペード・エース』って言う、ヤツ。
曲、僕のために書いてくれた、のに。
歌えないのはとても、残念」
「ふうん、そうですか。
お友達が作曲してくれた曲なら、大事にしたいですよね。
でも、もし、ご自分で歌えないなら、その作った本人に、時々歌って貰えばいいじゃないですか」
わたし、何の事情も知らずに、そうさらっと言っちゃったけど……
それからずーーっと後悔することになった。
だって、金髪の彼が笑ったのを見ちゃったから。
さっき見せた、はにかんだ天使の笑顔じゃない。
「スペード・エースはもう、いないんだ」って。
今にも泣き出しそうな顔の、微笑。
……そんな表情をするヒトに。
わたしは産まれて初めて出会ったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!