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首をかしげるわたしに、井上さんはまぁ~ねぇ~と手を振った。
「だから、他のバンドはともかくCards soldierには軽音部に所属した正式なマネージャーはいなかったし。
時々マネージャーを名乗る人が出て来ても、それは軽音部とは関係ない。
ダイヤモンド・キングのとっかえひっかえしている彼女の一人だったりしてたんだけど……」
「なぁに……?
井上さんって、ダイヤモンド・キングの……彼女になるの?」
朝、聞いた限りでは、確かに今はフリーっぽかったけれど。
聞いたわたしに、井上さんはまっさかぁ~~って言って笑った。
「さすがに、あんなに派手で女遊びの激しいヒト、好きになったら不幸だよね。
ああいうタイプは、外から見て『きゃーカッコイイ!』って騒ぐだけが一番良いのよ!」
「ふうん」
そうかもしれない、ってうなづいたら、井上さんは熱く語りはじめた。
「二人のウチどちらかを彼氏にするなら、やっぱりクローバー・ジャックの方だよね」
「……え」
井上さんが、そうズバッと言うのを聞いて、なぜだか心臓がドキン、と跳ねあがる。
「そ……そっか、宗樹も、人気あるんだったよね」
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