お嬢さまは、地味子さま?

19/31
前へ
/255ページ
次へ
「蔵人(くらうど)!」 「蔵人・ライアンハートだ! 帰って来やがった!」 「くそ……また、顔に傷なんて作って来やがって!  今度は、誰と喧嘩したんだ」  ざわ……っと騒がしくなったヒトビトに、ふん、と息をつき。  彼は土足で体育館に上がったかと思うと、ずかずかとステージ前まで歩いて来る。 「ライアンハート君!  君は、停学開け早々、何をしてるんだ……!」 「うるさい!!」  止める先生たちの呼びかけに、彼はガォン! と本物のライオンみたいに咆えて、ステージ上の神無崎さんをびしっと指差した。 「スペード・エースは死んで、ない!  必ず戻ると約束、した!  なのになぜ待て、ない!  新メンバーを入れて彼の帰る場所を、奪う!」 「待て、蔵人!」  宗樹の叫びを無視して蔵人さんは、ぎらりと更に神無崎さんを睨んだ。 「よりSoul(魂)と技術の高い者を選ぶ貴様のやり方は嫌いじゃ、無い!  でも、使えなくなった、ヤツ!  どうして簡単に捨てる、のか!」 「……簡単に捨てる気は、ねぇよ。  でも、スペード・エースは歌えなくなったんだ。  本人も、早く新しい仲間を探せ、と言っている」  ……神無崎さん、大人の対応。  体育館に乗り込み、がんがん怒鳴る蔵人さんのペースに巻き込まれず、淡々と話してる……と思ったんだけど!
/255ページ

最初のコメントを投稿しよう!

791人が本棚に入れています
本棚に追加