夏歩き

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 昼食を終えた二人は真夏の太陽の真下ではなく、深みのある濃い緑の傘―パラソルの下にいた。ちるの翼の中には、白いクリームに艶々した果物を薄皮の生地で包んだ、所謂クレープがあった。 「わぁ~!美味しそうです~」  ちるの瞳をクレープを前にしてきらきらと輝いていた。その隣のチュニカの手の中には茶色を主としてところどころに果物が顔を出しているチョコレートクレープがあった。 「溶けてしまわないうちに食べましょう。」 いつまでも食べる様子がないちるに一言かける。 「はーい。」 素直にチュニカに返事をして食べ始めた。 *****  二人は昼食後、クレープに始まり、シフォンケーキやタルトのケーキ屋、昔から愛されている紅茶店、古くからある名高い服飾店、様々な文化を取り入れ西の王国独自の文化との融合デザインを提案するデザイナーの共同出店、など様々な新しいものから古くから愛されているものまで、ちるの見たかったモノをたくさん見てまわった。 *****  その店は少しいりくんだ路地裏にあった。知らなければ来れない、自然には流れつかない場所である。だが、このような場所にあるというのに洗練された品格のある佇まいだった。赤と黒を基調とし、静かに、だが確かに、そこに在った。 「こちらのお店は先ほどまでにご案内したお店とは全く違うのですよ。」
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