由衣side

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 私が悪さして呼び出された時に、偶々あの娘が注意されている場面を目撃したようだ。 だからあの娘を学校一の問題児だと思い込んだみたいだ。 だから、簡単に騙されるんだよ。 ま、元々私の言葉を100%信じているからな。  近所のガキが生意気だから、隣の家の物置からペンキのスプレーぬすんで真っ白い塀にバカってでっかく書いてやったよ。 ついでにオカンに言いつけてやった。 後ろ家の娘にそそのかされたって。 オカン真に受けて、後ろ家に乗り込んだ。 何て言ったのかは判らない。 でも、血相変えて出てきて必死に塀のペンキを拭き出した。 作戦大成功だ。 頭を下げて必死に謝ってる。 すっかり自宅の娘が加担したと信じ込んでる。 だからお詫びの品を用意しようとしているオカンに言ってやった。 「そんな物、後ろの家に出してもらえば。悪いのはあの娘なんだから」 って――。 オカンはオバサンに言いつけて、煎餅の包みとウィスキーを受け取って詫びを入れに向かったよ。
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