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それから、十分ほどして、優真が慌てて食堂へ走り込んで来た。
「ハァハァ……お待たせっ!」
走ってきたのか肩で息をし、手を膝についている。
そんな優真に、留奈は頬を膨らませて拗ねていた。
「優真…おそい……」
「ハァハァ……。ゴメンね……。
先生にお爺ちゃんの事、任せてたの……。
先生ったら……。私が向かおうとすると、質問するから振り切って来たんだ。」
優真は気づいていない様だが、拓也の大人気なさが地味に出ているように見える。
留奈は、少し呆れた様な表情で拓也を思った。
〝先生……。やっぱりロリコンなんじゃ……〟
当人の考えなど気にもせず、勝手な妄想を繰り広げしまい、思わず苦笑してしまう。
親のいない留奈にとって、親心と言う概念が理解できないのは、当然の事であった。
「どうしたの?」
「う……。なんでも無い…」
さすがの留奈も昨日の今日で学習したらしい。
首を激しく振るとにっこり笑ってごまかした。
「それより…行こう。」
「ん?うん……。」
腑に落ちなさそうに首を傾げる優真の手を引き、走り出す留奈。
なんとか誤魔化せたと胸を撫で下ろすのであった。
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