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「お、みはねちゃん、お疲れ!今日は早い入りだねぇ」
奥のデスクに座ってたジャージ姿の鮫島トレーナーが、椅子から上半身を反らしてあたしを見てにこやかに言った。
はあはあ息を切らしつつ、走って来たので、って答えてから。
あたしは手にしたスマホを呈して、
「哲太からメールです!」
って。
「おお!百瀬くんから!?何だって?」
声を上げ、椅子から立ち上がって鮫島さんはこっちに歩いてきた。
「先週ギプスが取れて、猛リハビリ中だって」
胸に手を当て、息を整えながら言うあたしに、
マジで!?
っとまた上気した声を上げる鮫島さん。
「ンじゃ手術はうまく行ったんだな。猛リハビリかあ。百瀬くんらしいや。」
鮫島さんは首の後ろに手を置いて、だははと笑った。
「で、……秋にアンダーの育成リーグがあって、ベンチインめざしてるって」
「そうか!開催地はどこ?」
嬉しさに笑みをこらえきれずに、あたしは、
「東京です」
って元気に答えた。
「ってことは……帰ってくるの?百瀬くん」
あたしは頬を染めて頷いた。
「一時的ですけどね」
「そうかあ!んじゃみはねちゃん、それまでに百瀬くんのことケアできるよう、しっかり勉強しなきゃなー」
ん?ってあたしを覗いて白い歯で笑った鮫島さんに、あたしは、
「よろしくお願いします、師匠」
って頭を下げた。
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