#9 ハートブレイカー

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頭の上の枕をぎゅうぎゅう押し付けながら、あたしは必死に自分の気配を消した。 引っ込め、涙。 大丈夫。 ほら、もう何も聞こえない。 何も見えない。 これでよかったんじゃん。 哲太がようやく、本気で恋に向き合いだしたのなら。 ましてその相手が、親友なら。 悩む必要なんてない。 落ち込む必要なんて、 最初からないんだ。 だって。 哲太は、あたしの─── 兄貴なんだよ? そんなことをぐるぐる思ううち。 佐久田くんとのことで目一杯気が張ってた事も手伝ったのか。 幸いあたしは、そのままいつしか眠りに落ちていた。
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