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頭の上の枕をぎゅうぎゅう押し付けながら、あたしは必死に自分の気配を消した。
引っ込め、涙。
大丈夫。
ほら、もう何も聞こえない。
何も見えない。
これでよかったんじゃん。
哲太がようやく、本気で恋に向き合いだしたのなら。
ましてその相手が、親友なら。
悩む必要なんてない。
落ち込む必要なんて、
最初からないんだ。
だって。
哲太は、あたしの───
兄貴なんだよ?
そんなことをぐるぐる思ううち。
佐久田くんとのことで目一杯気が張ってた事も手伝ったのか。
幸いあたしは、そのままいつしか眠りに落ちていた。
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