10192人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃ今度、見せてみ」
「はあ!?バカじゃないの!?」
クククって笑う声が、心底可笑しそうで余計腹が立つ。
……
でもその苛立ちは膨らむことなくすぐ、冷えた悲しさに、変わる。
「…………ねえ」
「ん?」
「観に来る?……明日、都立大会」
……
キイ、キイ、と数回ペダルを漕ぐ音の後。
「無理だな。明日俺、デートあるし」
「……あー、そうですか。聞いたあたしがバカでした」
ますます声音に棘を乗せ、返したあたしに。
最初のコメントを投稿しよう!