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「ま、でも、佐久の宣言通り決勝まで行ったら観に行ってやってもいいかな」
「何その上から目線な感じ」
ムッとして投げたら、はは、と小さく笑った哲太。
「……佐久田くん、本気で優勝する気だよ?」
「そうみたいだな」
のんびり低音な声に、イライラが増す。
「分かってんの?…優勝したら、あたし」
「……」
「あげちゃうんだよ?佐久田くんに」
「……」
ねえ。
分かってんの?
哲太。
「全部あげちゃうんだよ?」
キ。
と小さくブレーキの音をさせて自転車が止まる。
「だから何。俺にどうにかしろってか」
凄味のある低い声。
あたしの八つ当たりが、哲太をイラつかせたんだと思う。
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