#17 月下の誓い

15/35
前へ
/557ページ
次へ
「……お~。すげえ。綺麗な月」 「ひっく……ひっ…く」 「今気づいた。みは、ちょっと見てみ」 哲太に言われて、嗚咽を押え込みゆっくり顔を上げた。 穏やかな茶色の瞳が見上げてる視線を、追っかける。 「──!」 まばゆいほどの輝きの金色に、ほんのり紺碧色を抱いた、まん丸の大きな月がそこに掛かってた。 すうーっと心が、洗われていくみたい。 「な。ちょっと降りて、見てかない?」 小さな子供みたいなワクワク声で哲太が言った。 「フフ。……いいよ」 笑み交じりに、しょうがないなあ、みたいな声音でわざと答えて。 あたしは涙を拭って、荷台を飛び下りた。
/557ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10192人が本棚に入れています
本棚に追加