#17 月下の誓い

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あたしたちは土手べりに自転車を置いて、ゆっくり下へ降りた。 人一人いない河川敷の、雑草の絨毯にごろりと仰向けになる哲太。 あたしも少し距離を置いたその隣に、三角座りして。 そしてまた二人で、月を見上げた。 しばらく黙ったまま、ずっと空を見ていた。 聞こえるのは、リー、リーと涼やかに鳴く、虫の声。 時折優しく頬を撫でていく、夜風。 このまま時が止まってしまえばいいのに。 なんて考えて。 そっと唇をかみしめた。 「俺が生まれた日」 「え?」 唐突に口を開いた哲太を、ひたと見た。 頭の後ろに両手を組んで、寝そべったままの哲太が、ちらりとあたしに視線をよこして、淡く微笑む。 「真夜中で、すげー綺麗な満月だったんだってさ」 「……そうなんだ」 「お袋、言ってた。俺が生まれて真っ先に、お前の母さんが病院に会いに来てくれたって」 えっ。 「あたしの……お母さんが?」
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