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その時、
ピロロロロ~!!
って。
静かで幸せな夜を突き破るみたいに。
あたしのスカートのポケットのスマホが、けたたましい音を立てて、音楽を奏でた。
哲太の腕の中でビクッと跳ね、慌てて目を開ける。
鳴り続けるスマホに手を伸ばしかけた時。
「!」
哲太の大きな手が、あたしの腕を強く掴んだ。
驚いて見上げた哲太は、見たこともないほど怖い顔をしていた。
「出んな」
「…… 」
派手派手しい音で、早く取れとばかりに主張し続けてる、それ。
「……出ないで」
「でも……」
「……」
鳴り止まない、着信音。
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