#17 月下の誓い

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つ、と伸びた手のひらを滑らせるように、哲太があたしの頬を撫でてそして。 「大丈夫だよ。……みは」 キスの余韻の、艶やかな声で。 「!」 「大丈夫」 月明かりの下、いつかのように、端正なその顔をくしゃりとさせた。 「……お前と佐久は、そうならない」 ! 「できっこないさ。優勝なんて」 驚きに目を見張ったら、弾みで涙がぽろぽろとこぼれた。 「佐久やチームのみんなには悪いけど」 哲太? 「保障する。誓っていい。……って、変だなこれ。“優勝できない” 宣言?」 眉を曲げ、プハって吹き出す哲太をあたしはギュッと睨んだ。 「そんなの、分かんないじゃん」 「俺には分かるの」 「分かんないよ!だって佐久田くん本気なんだよ?哲太が居なくなってから、必死で練習積んで…本気で、優勝狙ってるのに」 軽々しく、優勝は無理なんて断言できる哲太の事が、分からなかった。
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