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はー。
疲れた。
月子のせいで朝っぱらからどっと老け込んだ気分。
あたしは虚ろな目のまま、体育館脇の水道で男子バスケ部員18人分のおしぼりを黙々と作った。
もういい。
別にいい。
月子がいいんなら、あたしは知ったこっちゃない。
全部割り切った付き合いなら、他人のあたしがそれ以上口出しする必要ないし。
お臍のあたりに一瞬溜まった熱も、いつの間にか冷え切っていた。
どうせあたしの王子様は、……
あたしだけの王子様は、もう姿を消してしまった。
ふわっふわの髪と、目が離せないほどの美貌と、
誰よりも艶やかで綺麗な笑顔はそのままなんだけど、ね。
あの日の王子様は…もういないんだ。──
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